【登場人物】
ハルさん
不登校の子どもをもつ母親上野
当グループ代表
不登校に悩んでいるですけど、インターネットでも色んな考え方があって何から考えていいのかわからなくなってしまっているんですが?
不登校の問題は、何が正しくて何が間違っているということはないんです。今は多様性の時代で不登校に対しての考え方もそれぞれですから。だから、自分の家庭の方針をしっかり定めて、子どもの不登校のタイプに合った対応を選ぶことが大切なんですよ。
なるほど。でもどのように決めたらいいのかわからなくて。
それなら、まずはこの本で不登校になる理由と不登校のどの時期にいるのか、自分の家庭の状態を確認するところから始めてください。
まずは、自分の家庭の状況を把握することが大切なんですね。
そうですね、カウンセラーは分析をアセスメントというんですが、自分自身で自分の家庭を客観的に見てみることも大切なんですよ。
不安だからつい感情的になってしまうけど冷静さは大切ですよね。
後、不登校のタイプについても詳しく書いているので自分の子どもがどのタイプの不登校なのかもしっかり把握しましょう。
過干渉タイプやバーンアウト、心身症タイプか~。いろいろなタイプの不登校があるんですね。
そうですね、まずは1章で自分の家庭の不登校の理由、時期、タイプをしっかり把握しましょう。
第一章 不登校になる理由
自分の家庭の状態が今どのような状態であるかはわかりました。次はどうすればいいのでしょう?
理由と時期がわかったら次は、不登校の改善に必要な家庭教育と家族療法の理論を学びましょう!
理論とか苦手なんですよね~。
確かにここが一番難しいところですからね。ところで、ハルさんは、家庭教育って言葉を知ってますか?
何となく聞いたことはありますが、説明はできないです^^;
家庭教育は、簡単に説明すると子どもが社会に出た時に必要なスキルを身に付けるための自立援助のことなんですが、あまり理解されてはいないんです。
子どもは成長すれば勝手に社会性は身に付くのではと思っていたかも^^;
本にも詳しく書いてあるんですが、今は多様性の時代ということもあって国は教育に対して親にお任せしますというスタンスに変わってきています。
昔は違ったんですか?
1947年の児童福祉法では国と地方公共団体は、「児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」となっています。でも今の教育基本法では、「教育についての第一義的責任は親にあり、家庭教育の自主性を尊重する」となっています。(抜粋)
親の責任が重くなっているのね。
そうなんです。しかも個人情報の尊重、プライバシーの保護の観点から地域社会との壁も厚くなり、地域で育てるというよりもより個人で育てる時代になってきているんですよ。
確かにそれは感じますね。
今の時代は、親の考え方が子どもの成長により大きな影響を与えるということになります。つまり、今の子育てで大切なのは親の「判断」と「選択」なんです。
親の判断と選択次第なんですね~。それなのに勝手に育つではいけないですね。
そうですね、親が家庭教育を学ぶ大切さは理解できましたか。
親の影響は大きいということは理解できました!
では、「子育て」ではなく「親育ち」の意識で子育ての理論をしっかり学びましょう!そんなに尻込みしなくてもわかりやすく解説しているから大丈夫ですよ。
それでも難しいんですけど~、でも頑張ります。
第二章 不登校の改善に必要な家庭内対応(家庭教育と家族療法〈理論編〉)
家庭教育と家族療法の理論は理解できましたか
理論は何となく理解できましたが、理論だけではどのように活かしていいのかよくわからないです。
それでは、理論をベースに具体的なテクニックを使って実践してみましょう。
ソーシャルスキルを身に付けるためのテクニックってたくさんあるんですね。しかも会話の例があるからイメージしやすい。
自分の家庭での会話をイメージするとより効果的ですね。本当はもっとたくさんあるけど今回はその中でも柱となるものを集めたからしっかり学んで家庭で活かしてほしい。
がんばります><
第三章 不登校の改善に必要な家庭内対応(家庭教育と家族療法〈実践編〉)
一、ソーシャルスキルを身につける
二、具体的な対応方法
家庭内での対応の仕方はわかりました。これで不登校の問題は解決できますね。
実はそう単純ではないのが不登校の問題なんです。家庭内対応を改善しても、「友達に休んでいるのをどのように思われているか」「勉強の遅れ」「クラスで居場所がないのではないか」などの2次的なリスクは別問題として解決していかないといけないんです。
確かにそういった不安はあると思います。
それを家庭で解決できるかは、不登校の問題を家族で話し合えるかどうかにかかっているんです。そこでこの本に書いてある家族会議を行ってほしいと考えています。
やり方は、ここに書いてありますね。
そうです、家族で学校の話をしようとしたときに、耳を塞いでしまったり、「大事な話があるから座って」と話しただけで「無理無理、学校の話とか無理」などと拒否をしてしまう場合も実はあります。その場合は、家族会議もできないし、言いにくいですがそのような状態になってしまっては家族だけで解決は難しいと判断せざるをえないんです。それは、親が悪いとか子どもが悪いのではなく、不登校の構造上の問題なんです。ですから、そうなってもハルさんも自分を責めないでくださいね。
わかりました。話し合えるか不安だな~。そこで話し合えたらどうしたらいいんですか?
そこで話し合うことができたら、2章3章を繰り返し読んで身につけて家族会議で1つ1つの問題をクリアーにして家族で不登校の問題に向き合ってほしい。家族会議ができれば家族だけで不登校の問題を乗り越えられる可能性は十分にありますから。
もし、話し合えなかったらどうしたらいいんですか?
その場合は、家族で解決したい気持ちはわかりますが、一度受け入れて専門家に頼ることも検討してほしい。家族で学校の話がうまくできない状態なのに強引に学校に連れていこうとしても余計に家族の溝が深まりますし、話し合えるまで待っていると勉強の遅れや学校や社会から孤立していく2次的リスクが膨らんでしまうんです。
確かに、家族だけで何とかしたいけど今の状態が続くほうが辛いです。
そうですね、本にも書きましたが私はコーチングで子どもたちにこのように伝えています「今の状況が辛いのはよくわかる。あなたは一人で抱えてしまって抜け出せなくなってしまったのだから。だけど、もう一人で抱える必要はない。あなたは一人じゃない。頼れる人がいるのだから、そこは素直に頼っていこう。頼る勇気や恥ずかしさより、一人で抱えて抜け出せない辛さのほうがよっぽど大きいはずだから」と。だから家族会議で話せない場合は、素直に第3者を頼ってください。
わかりました。うまく家族で話し合えないならそうします。でもどこに相談したらいいのでしょう?
それは、学校に行けるようにしたいのか、フリースクールなど負担なく進めたいのか、ホームスクーリングなど自分で家で学習できる環境にしたいのかといった家庭の方針によっても変わってきます。ハルさんはどのようにお考えですか?
私は、義務教育機関の間はせめて学校に通ってほしいと思っています。
それであれば、復学支援をおすすめします。復学支援機関は調べてもらうといろいろありますからインターネットでも調べてみてください。ここではエンカレッジの復学支援について説明しますね。
第四章 復学支援
復学率が100%なのはすごいですね。
確かにそうなんですが、復学率に関しては100%という数字がすごいのではなくて家族療法の考え方をベースにした理論と、アウトリーチ型の訪問カウンセリング、それに伴う復学支援のサポートプログラムがしっかりしていることがすごいんです。その結果、復学率100%になっているというだけなんですよ。
確かに数字に目がいっちゃいますが、しっかりしたプログラムがないとこの数字にはならないですよね。
そうですね、でも復学率が100%というのはうちの子は本当に行けるだろうかと不安のある方には安心だと思います。
なるほど、よくわかりました。実際にどんな感じで進んでいくのかがわかるといいんですが。
そういう人のために、支援を受けた方が支援の流れと自分の体験を語ってくれています。それもぜひ読んでください。
第五章 不登校を乗り越えた親御さんの声
感動して泣いてしまいました。みんな大変な苦労をしてそれを乗り越えているんですね。
そうですね、不登校は誰一人として同じケースはないですし、誰一人として簡単なケースはないんです。それでも乗り越えられるので頑張りましょう。
私も勇気をもらえた気がします。不登校を乗り越えられるよう努力する。まずは、この本をしっかり読んで家族会議ができるかどうかやってみます。
そうですね、その意気です。そこが家族で解決できるかのポイントになるので頑張ってください!
復習の意味も含めてこの本のポイントをまとめておきますね。
うまくまとめていただいてありがとうございます。あと、この本には読みやすいような工夫がしてありますので、それについてもお伝えしておきますね。
ぜひお願いします。どんな工夫でしょうか?
まずは、難しい理論とかが苦手という人もいますよね。
はい!私も苦手です。
そういった方や、時間がなくて要点だけ復習したい人には、すぐにわかるようにハルさんがまとめてくれたような感じで各項目の最後にポイントとして要点をまとめてあるんです。
この本はポイントがまとめてあるからわかりやすかったです。だから今回の内容もポイントとしてまとめてみようと思ったんです。
ありがとうございます。確かにポイントでまとめてあるとわかりやすいですよね。そして、もう一つ。不登校の本って子どもに見られてしまったり、出勤の電車移動とかで不登校という文字が出ていたりすると読みにくいですよね。
確かにそうなんです。だから、表紙を裏にしたり、子どもが絶対に見ないように隠したりしないといけないんですよね。
だから、今回の「今、子どもの不登校で悩んでいるあなたへ」では表紙のカバーを取ってもらうと模様しかない状態にしてあります。
それは嬉しい気遣いですね。さすがは先生、不登校の親の気持ちがよくわかってますね。
いや~、前回出版した「さよなら不登校」のとき、表紙を反対にしている人がいて、次に出すときはもう改善できたらと思っていたんですよ。後は、今回は前作よりもページ数が多くなってしまったのでもう一つ大きなサイズでもと出版社から言われたのですが、女性のカバンに入るサイズの方が持ち歩きやすいと思ったので、小さいサイズにしてもらったんです。前回の本でも「バイブルとして常にカバンに入れています」と常にカバンに入れて持ち歩いているという方もけっこういたので。
確かに、不登校の本は家では読みにくいから公園や図書館で読むことが多いですね。その時に持ち運びやすいサイズだと助かります。
あ、そうそう、図書館といえば今回は、全国400か所の図書館にこの本を置いてもらうように手配しました。家で読めない方も図書館にあればそのまま読んでもらえますので。
それは嬉しいです。家に置いておいてもし見られた場合、親が自分のことで一生懸命勉強していると思ってくれたらいいですが、こそこそ何かやってるなと不振に思う子もいますからね。家に本を置いておくのが不安という人には安心ですよ。
いろいろ、読みやすい工夫もしてあるので、ぜひ皆さん一度「今、子どもの不登校で悩んでいるあなたへ」を読んでみてください。
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最後に、本の帯にも掲載されていますが、家庭教育を学んだ方からの感謝の手紙もご覧ください。
児童精神科の医師から「私があの時この子につけた診断、広汎性発達障害という診断は気の迷いだったのかも知れません。そう思うくらい、今のこの子は成長しましたね。」と言われるまでになりました。
(当時6年生、現在大学1年生 Mさん)
復学から1年くらいの時は完全に元通りにはならない、90%くらいのところで回復は止まるのかとあきらめていたのですが、最近は元通りあるいは以前にも増して円満な家族関係になったかなと思っています。
(当時4年生、現在6年生 Kさん)